Diener & Diener Exhibition 
Tuesday, 10, February, 2009, 21:27 - ARCHITECTURE
Roger Diener の講演会に行ってきました。
自分がDiener & Diener で働いていたのはもう7年も前になります。
事務所にいた時は担当プロジェクト以外の話をする機会があまりなかったので、7年越しにやっとRogerの口から直接、建築や都市に対する考え方を聞くことができて、本当に自分にとっては特別な時間でした。
「建築家の名前を署名するような建築ではなく、その場所の歴史や環境を記述するような建築をつくりたい」
「一人の建築家がつくる建築は最終形ではなく、歴史の一幕に過ぎない。次の世代の建築家が新しい提案をする余地があってしかるべきだ。」
「私の建築は周囲に静かに溶け込んでいるわけではない。どのような建築であろうとそれができることによって、都市が変化しない事はない。私はその変化の可能性を最大にしたい。」
など、幾つかの言葉に、深く考えさせられます。

興味深いのは彼の作品の空間的時間的「範囲」の設定の仕方です。
通常、建築を設計する場合、自分の作品の範囲は敷地あるいは建築の形としてとらえられ、その周囲の環境はその作品の背景と考えるのではないでしょうか。その証拠に建築模型をつくる場合は、自分の設計した建築は詳細に多くの形態や素材や色を使って表現し、その周囲はそれを引き立てるために詳細を省略し色も素材もおとなしくつくられます。
Diener & Dienerの模型は周囲のコンテクストと設計した建物を全く同じ素材とクオリティでつくるので、どの建物がDiener&Dienerが設計したか見つけるのが困難な程です。また、内観写真では建物のインテリアよりも、窓の外の風景の方が主役となり、肝心の建築はその風景を切り取るフレームとしての窓としてのみ現れる事で、通常の建築内観写真の作品と背景の関係は逆転しています。それはつまり、作品(建築)と背景(都市)という関係を超えて、自分の作品の範囲を一旦広がりを持った都市全体と設定しておいて、その上でその部分である建築をその都市に挿入する事によってそこ現れる微妙な影響や変化をつくりだすことを、設計行為として考えているのではないかと思うのです。
建築家は敷地という枠が与えられているにも関わらず、その作品の範囲をどこに設定するか実は自由に設定できるのではないかと考えさせられます。
例えば美しい田園風景の中に住宅をつくる場合、田園風景を背景としてその中に自分の作品である住宅を置くと考えるのか、田園風景自体が既存の作品であり、その作品の一部を改修することによって、住機能を付加すると考えるかは、最終的にどのような形をつくるかよりも大きな問題となるのではないでしょうか。
どのような作品をつくるかよりも、その前に自分の作品の範囲をどこに設定するかは、より大きな課題だと思うのです。

ところで、Diner & Dienerの作品を網羅し、その思想を伝える本があまりなく、特にドイツ語以外で書かれた本がないのは残念です。
この機会に出来れば日本語、少なくとも英語で書かれる本が出版されればいいのですが。

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JIA KINKI U-40設計コンペティション 
Thursday, 11, December, 2008, 12:30 - ARCHITECTURE
JIA近畿支部が主催した実施コンペ(最優秀賞に選ばれるとその建物を建設することができます。)U-40 設計コンペティション 六甲山上の展望台1次審査の結果が発表されています。
私の提案は佳作に選ばれはしたものの、残念ながら、最終選考の5案には入れませんでした。
若手建築家に大きなチャンスを与えるという目的から、40歳以下というユニークな制限が設けられたコンペです。
必然的に30代の同世代の建築家が1つのテーマに対して知恵を絞ることになるので、他の同世代の建築家達がどのような提案をしたのか気になるところです。
結果は今月15日公開審査後に決定するようです。



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古いものを古いままに 
Thursday, 11, December, 2008, 12:13 - ARCHITECTURE
そもそも、古いものより新しいものの方が価値があると信じられているから、リフォームや改修の目的はその古さを隠蔽して、新しいものにする事になってしまいます。
「ヴィンテージ」「アンティーク」「レトロ」などの言葉があるようにファッションや音楽、映画など、他のジャンルではもっと新旧の価値観は多様です。
以前に改修した築40年のマンションでは、内装を撤去すると古いコンクリートの壁と天井が現れました。
今はコンクリートは綺麗な合板で打ちますが、40年も前だと小幅板のツギハギで仕上がりもデコボコです。
このツギハギデコボコをそのまま残して、ペンキで塗るだけとしたところ、新品の建物にはない程よいリラックス感と、高い天井が気持ちいいワンルームになりました。
あっという間に空き部屋はなくなって、早速入居してくれた若い人たちが、かっこ良く住みこなしてくれているようです。


photo : Kazunori Nomura

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SD2008 
Saturday, 06, December, 2008, 19:34 - BOOK
SDレビュー2008の入選作品の一つとして、SD2008にAUBERGE Hが掲載されています。
是非、ご覧ください。



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エコ審判 
Thursday, 27, November, 2008, 10:43 - THOUGHT
ロンドンの公共建築のエネルギー効率を調査し、それをAからGまでの7段階にランク付けして公表するということが行われています。
イングランド銀行や首相官邸など日本人にもよく知られている有名な建物も含まれています。
ただ、ほとんどE〜Gの厳しい判定で、建築というもの全体のエネルギー効率の改善が進んでいないことが分かります。
設計者としての責任を感じずにはおれません。
リベスキンドの博物館などは1815年に建てられた美術館と同じ性能しか持っていないと書かれていますし、中でも一番イタイのはノーマン・フォスターで「実質的に全くクリーンな公共建築」と大々的に宣言して建設したロンドン市庁舎が下から3番目のE評価とされ、「建築家によるサスティナビリティーに関する主張の妥当性が疑問視される」とまで言われています。
そもそも、環境負荷の判断がいろいろな解釈を持っているでしょうし、使用する側の使い方にもよるものなので、あくまでもこのデータは参考基準というものでしょうが、とにかく、もう当たり前の事かもしれませんが、建築というものがはっきりと環境負荷から評価されるようになってきていることは確かだと思います。
別の記事では、英国では近い将来、環境負荷の大きい建物は税金や保険料が高く設定されるべきだという提案も出てきているようです。
これまで、勘や経験にたよって、日当りよく、風通しがよい建築をつくってきた自分達の建築設計の方法をもっと精度の高いものに発展させていかなければならないのかもしれません。

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